燕・歳時記 Special

燕山荘通信

燕岳ビギナー春山登山教室 点描


この春山シーズン中、大型連休をはさみ、燕山荘主催の「燕岳ビギナー春山登山教室」を数回にわたりまして催行致しました。

 


燕山荘が営業開始する4月下旬から5月上旬の大型連休中が、燕岳界隈をはじめとする北アルプス一帯が一年で最も積雪量が多いとされています。春山とはよく詠われますが、まだまだ立派な「雪山」の時期です。

 

年末年始の厳冬期と大きく違う点は、4月5月のほうが、3000m級の稜線上の雪面は比較的固く締まるタイミングが多く、滑落・転倒のリスクがより高まることです。つまりは、アイゼンとピッケルの使い方、加えて雪上歩行の習熟度により、そのリスクがどれだけ低減できるか決まってきます。

残雪期の雪上で一番大切なのは、「転ばず、つまずかずに歩く」こと、これに尽きます。

 

ここ数十年来、燕山荘では、多くの方に残雪期の春山登山を安全に楽しんで頂くべく、登山教室を開講、入門ではありますが、雪上歩行や滑落停止の基本を教授してまいりました。

 

この大型連休中も各地で遭難事故が相次いだようですが、そういった事故が少しでも減らせるよう、燕山荘グループは今後も春山登山教室を通して、一人でも多くの方に安全かつ残雪期の山の魅力をお伝えすべく努めてまいります。

 

 

この登山教室が開催された3週間ほどは、大きな天候の崩れがすくなく、その分気温の高い日が多かったため、雪解けがスピード感をもって進みました。とは言いましても、朝晩陽が沈んでいる頃には雪面は固くしまり、特に朝の下山時はアイゼンの歯をよく効かせる必要がありました。

 

特にこの時期の日の出の頃は、水が張られた安曇野平の田んぼの水面の輝きがとても印象的です。加えて、雪渓上の斜面に雪解けで刻まれる筋状の模様、これもこの時期ならではの情景です。

 

 

ふと上空を見上げれば、この春先は色々な物が浮かんでいました。長野県防災ヘリコプターやハンググライダー、そして一番下の画像おわかりになりますか?まさしく北アルプス上空に浮かぶ「つばめ雲」です。

 

 

芽吹きの時期でもあるこの頃です、いろいろな花も楽しめます。是非探してみて下さい。

 

この春山で印象に残ったものの一つに、この“イルカ岩”のくちびるに、つがいと思われるイワヒバリが2羽仲良く留まり、ピーチクパーチク囀り合っていた光景です。世の中の様々な喧騒の中、心底癒される一瞬でした。

 

 

▲第1回

 

▲第2回

 

▲第3回

 

▲第4回

 

▲第5回

 

▲第7回

例年ですと、大型連休中には寒気の南下が一度くらいはあり、雷や暴風雪、時には耐風姿勢をとらないといけないくらいの悪天候に遭遇することは珍しくない時期ですが、この度は概ね穏やかな登山日和に恵まれ、上下山時どこかのタイミングでは北アルプスの眺望を拝むことが叶いました。

「ピッケルは持ってはいたけれど、使い方がよくわからなかった。今回の講習は大いに参考になりました」
「アイゼン、ただ雪面に付ければよいものと思っていたけれど、単にそれだけでは滑ってしまう構造的なものがよく理解できました」
「逆にもう少し天気の悪い条件の時に参加してみたい・・・」
「上りよりも下りの方がとっても怖い。緊張感持って下りる大切さを学びました」

ご参加頂きました皆様、遠方より足をお運び頂きありがとうございました。

担当ガイド:井村(ヒュッテ大槍支配人)、榊(大天荘支配人)

写真と文:榊

 

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