燕山荘ツアー2024年度「ライチョウ観察会」を催行しました

2024/7/6

6月22日～23日、毎年恒例の燕山荘ツアー「ライチョウ観察会」を催行しました。前日に梅雨入りして雨が予想されましたが、なんと当日は晴れとなりました。初めての方、5年連続で参加される方、5年振りに参加される方、ライチョウに興味を持って追っかけをしている方などが参加され、簡単な自己紹介や登山の注意などをして有明荘を7:55に出発しました。

≪中房登山口～合戦小屋≫
中房登山口からは花や野鳥などの説明を全員が聞くことができるように5つのグループに分けて、伝言ゲームをしながらゆっくりと登りました。第1ベンチまでの急斜面はマイヅルソウやミヤマニガイチゴなどがちらほら咲いているだけで花は少ないですが、第2ベンチからはギンリョウソウ、ゴゼンタチバナ、イチヨウラン、キソチドリなどが目を楽しませてくれました。コルリやクロジなど他ではあまり聞くことができない野鳥も鳴いていました。

▲マイヅルソウ

▲ゴゼンタチバナ

▲イチヨウラン

▲バイカオウレン

合戦小屋手前ではバイカオウレンやミツバオウレンが迎えてくれました。

≪合戦小屋≫
合戦小屋ではスイカのあまりのおいしさに疲れも吹き飛びました。

≪燕山荘到着～燕岳登頂≫
燕山荘に到着すると雲行きが怪しくなり始めたのでまずは燕岳頂上を往復しました。コマクサやキバナノコマノツメなどが足下に咲いていました。もうすぐしたら百花繚乱の世界だろうと思われました。

燕山荘前で、燕岳をバックに

▲燕岳登頂

燕山荘に戻ってライチョウを探すも、いつも山荘の前の岩の上にオスが見張り止まりをしているというのに姿は見えませんでした。こればかりは仕方がない。ヒナが孵るのも近いのかもしれません。天気は下り坂で視界が聞かないので翌朝に期待して観察は諦めました。夕食後テキストを使ってライチョウの生態や現状などについてレクチャー。

翌6月23日は朝から雨のため、早めに下山することにしました。今回ライチョウは観察できず残念でしたが、イワヒバリやカヤクグリなど高山の鳥や高山植物を満喫することができたツアーでした。

▲イワカガミ

【今回観察できた詳細】

■野鳥（14種）
ホシガラス、イワヒバリ、カヤクグリ、メボソムシクイ、ウグイス、キクイタダキ、ルリビタキ、コルリ、クロジ、ウソ、ヒガラ、コガラ、ホトトギス、ミソサザイ

■植物（花が咲いていた主なもの）
【有明荘】
エイザンスミレ

【登山口～燕山荘】
［草本］イチヨウラン、キソチドリ、ミツバオウレン、バイカオウレン、ギンリョウソウ、マイヅルソウ、ゴゼンタチバナ、オオバノヨツバムグラ、イワカガミ、ツマトリソウ、イワナシ、ユキザサ、オオバキスミレ、ショウジョウバカマ、

［木本］ミヤマニガイチゴ、ベニバナイチゴ、アカモノ、コヨウラクツツジ、ウラジロヨウラク、オオバスノキ、クロマメノキ、クロウスゴ、ムラサキヤシオ、オオカメノキ、タカネザクラ、ナナカマド、ウラジロナナカマド、タカネナナカマド、ミヤマハンノキ、ツルツゲ、

【燕山荘～燕岳】
［草本］コマクサ、シナノキンバイ、ミヤマキンポウゲ、ミヤマキンバイ、ヒメイチゲ、ハクサンイチゲ、ミヤマタネツケバナ、ヤマハタザオ、ウメハタザオ、コミヤマカタバミ、ミヤマタンポポ、ムカゴトラノオ、ミヤマハンショウヅル、ミヤマクワガタ、ミヤマワダチソウ、
［木本］イワウメ、イワヒゲ、コケモモ、キバナシャクナゲ、ハクサンシャクナゲ、

■昆虫類
ヤマキマダラヒカゲ、エゾハルゼミ、

■哺乳類
ニホンカモシカ（燕岳直下　足跡）、

■両生類・は虫類
ジムグリ

講師：野生生物資料情報室代表・信州野鳥の会会長でライチョウ調査研究に携わる植松晃岳氏
燕山荘スタッフ：竹越、高杉
写真：高杉、河地、赤沼健至
文：植松氏

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≪後日談≫
今回残念ながらライチョウに出会うことが出来ませんでしたが、
「ヒナが孵るのも近いのかもしれません。」の講師植松さんの言葉通り、ツアー終了翌日24日、テント場周辺で、クウクウという鳴き声とともに6羽のひなを見つけることができました。この2,3日見張りをするオスを見かけなかったのでその頃に生まれたのでしょうか。
翌日も元気よく走り回るライチョウのヒナたちがいました。まだ体温をうまく作りだせないので、しばらく歩くとお母さんの羽の中へと全部入っていき、姿が見えなくなります。そして、5分くらいするとヒナたちはまた羽の中から元気よく飛び出し、あちこち歩き回りだしています。