ライチョウ観察会開催しました
6月21日は夏至。今は昼間の時間が最も長い頃です。日の出も早くなっていて、4時半前には太陽が顔を出してきます。日に日に気温は高くなってきていますが、日の出頃の気温は一桁の前半くらいまで下がり、まだまだ冷えます。6月17日~18日、燕山荘企画ライチョウ観察会第1回目を催行しました。
【第1回ライチョウ観察会】
第1回目のライチョウ観察会は素晴らしい天気となりました。登山口辺りは新緑が美しく、新緑シャワーの気持ちよい中でのスタートとなりました。
このツアーはライチョウ観察だけでなく、動植物にも詳しい講師植松晃岳氏の様々なお話を聞きながら歩きます。途中、昨年の強風で倒れたコメツガの木の所では、普段なかなか見ることのない根っこの部分を見て「コメツガは岩の多い所に多いため、根っこが岩の隙間に伸びるため、他の木よりも根が細く、たくさんある。」そんな解説がありました。
花や鳥、木などを見ながら歩くと登山の楽しみがぐっと増します。
今年は雪解けが遅かったのか、花の開花が遅れています。いつもこのツアーが行われるときには咲いている花がまだ、咲いてなかったりします。
標高が上の方のイワカガミは、まだ花を咲かせていなくて葉も茶色です。これは枯れているのではなく、気温がまだ低いので花を咲かせるのには早く、光合成をしていないためです。紅葉の時の葉と同じです。そんな話も聞きながら、標高が上がるにつれて変化している植物の観察を楽しみながら歩きました。
今の時期は三角点辺りより下では新緑がとても鮮やかです。残雪の山をバックにするとよりいっそう美しく見えます。
合戦小屋より上では雪が残っています。不安な方は軽アイゼンやストックがあるといいでしょう。スニーカー等はツルツルと滑り不向きです。
この日はとてもいい天気でした。ただ夏とは違い風が心地よく吹き、汗をかくといったこともなく、本当に気持ちのいい登山日和でした。眼下に見える安曇野の水田の稲が大きくなってきたのか、緑っぽく見えていました。
サクラは三角点の上まで咲き出してきました。サクラが春の花だとすれば、山にもようやく遅い春がやってきたことになります。
稜線ではシャクナゲが咲き出しました。風が強い稜線では雪はあまり積もらなく、また日当たりがいいので雪解けが早いため、雪の吹きだまる東斜面より先に花が咲き出します。山の上では花が上から下の順に咲き出します。
燕山荘に到着後、早速ライチョウ探しに。今の時期、メスは卵を抱えているのでなかなか目にすることは出来ませんが、オスは縄張りを見守るために岩の上で見張りをすることが多くなるので見つけやすくなります。
しかし、この日は天気が良すぎてライチョウを見つけることが出来ませんでした。天気がいいとライチョウも天敵に見つかりやすくなるのであまり出てきません。
ライチョウは見られませんでしたが、イワヒバリたちが元気よく、あちこちでかわいい声で鳴きながら飛んでいました。ツアー中、イワヒバリが巣を作っている所を見つけました。そして、翌日その中をそっと覗いてみると卵を温めているのかお母さんイワヒバリがいました。あまり覗くと嫌がるのでそっとしておいてあげましょう。
当日は美しい夕日を見ることが出来ました。
ツアー2日目は曇りがちな天気となり雷鳥に出会えるチャンスも高まり期待しながら、前日とは反対の蛙岩方面へとライチョウ探しに出かけました。すると1羽のオスが岩の上にいました。オスは羽の色が白と黒なので岩の上にいてもあまり目立たない保護色となっています。
一方、今回は見られませんでしたが砂の上にいることの多いメスは砂の色によく似た茶色をしています。
下山時、燕山荘から下ったところで突然、1羽のライチョウがやってきました。まるで見送りに来てくれたようでした。
今回のツアー中、3羽のライチョウを見ることが出来ました。燕岳から蛙岩手前には少なくとも3羽のライチョウがいることが分かりました。しかし、稜線上でライチョウの天敵でもあるキツネの糞も見つかりました。人が食べ物を捨てたりするとそれを求めてキツネ・カラスなどがやってきてしまいます。ゴミや食べ物を捨てないのがライチョウ保護へとつながります。
参加者の皆さんと
燕山荘の小屋周りも芽吹きが始まってきました。山の季節も着実に進んでいます。
ツアーガイド:河地清人 講師:植松晃岳氏
写真・文 河地清人