雪が降らない北アルプス
例年ですと、葉が落ちた木々に霧氷がつき、夏山と一味違う綺麗な山の景色が見られるのですが、今年はまだのようです。朝、気温が-3℃まで冷えていて風があるとかなり寒く感じます。
【山肌を赤く染める夕日】
太陽の沈む位置が夏と違い、冬に近づくと燕岳の山肌が赤くなります。
10月29日合戦小屋までは小雨が降っていたので、お汁粉を食べたり、ゆっくりしてしまったのがいけなかった。三角点を過ぎる頃から急に雲海の上に出て、あたりの景色が一変し雲の流れがいい。少し興奮しながら歩いていると槍ヶ岳が赤くなり始めてきてしまった。あわてて荷物を担いだまま駆け上がったが、5分いや3分遅かった。「ものすごい夕焼けでしたね」とみんなから言われ悔しい悔しい。写真はとれないし、あまり走りすぎて夜中に足がつったり。秋の日没は、急なドラマがあり、また消えるのも早いので、のんびり出来ないですね。
【夜景】
あまりにも美しい夜景に寒い中カメラを構えました。オリオン座が登りはじめ長野県の長野市、上田市、佐久平、茅野市、安曇野市、松本市などが綺麗な夜景を見せてくれました。朝方、緑色がかった白色の大きな火の玉が、急に凄い速度で現れ、そして幾つもに割れて消えました。ソユーズは昨日帰還したし何だろう。隕石かな、UFOかな。
【10月31日ご来光】
朝、夕の太陽に染まる雲は主役です。10月下旬から11月にかけて、大気が澄んでくるので空がきれいです。そして、雲の発生が夏の上昇気流によるものと違い、おもしろい光景を見せてくれます。気温は氷点下になりますので、暖かい服装が必要になります。
【北燕岳から奥燕岳平】
燕山荘から奥燕岳平まで約1時間半楽しい散策コースだ。夏はお花畑になる斜面の草も枯れ今までにない景色が堪能できる。雪が来れば、滑ると危険な場所となりますがこの日はご機嫌でした。
【燕山荘の玄関】
燕山荘の玄関前にある庭には二つの歴史ある方々の作品があります。
看板は、美ケ原の塔の作者でもある杉井さんの作品です。
杉井さんは他にも燕山荘の手ぬぐいや、フロントの上の梁の彫刻のデザインを手掛けていただきました。もう一つは畦地梅太郎先生の山男の像です。この像の前での記念写真が人気です。
【新そば祭り】
今年はヒュッテ大槍の支配人で活躍した、燕山荘グループの山小屋統括責任者である井村克彦が新そばを打ちました。毎年大好評です。今回の上山時には、台風で倒れた木をチェンソーで切りながら上山しました。長く燕山荘の支配人をしていただけに、なんでもできます。
沸点が低いのでなかなかそばが茹で上がらないのですが、水が冷たいので、茹であがったそばはしまって美味しく出来ました。
まもなく雪景色となることでしょう。雪景色は感動の光景となります。待ち遠しいですね。一味違う、雪の北アルプスをお楽しみください。
燕山荘と有明荘は、11月23日のご宿泊までの営業となります。
写真・文 赤沼健至