もうすぐ夏
新緑が美しい季節と思っていたら、緑色は日に日に濃くなり夏色へと変わってきました。山肌の緑色はさらに濃い緑へと変わっていきます。
6月29日の朝に見た縦走路の色はとても色鮮やかで印象に残るものでした。
ヘリポート下に咲くナナカマドの花も今が見頃となっています。柔らかな緑色に白い色が映えていますね。もうすぐ夏です。
燕山荘直下には、シナノキンバイ、ミヤマキンポウゲなど黄色い花々がお花畑となっています。
新しい生命の誕生の季節になりました。6月28日、燕山荘の近くに巣を作っていたイワヒバリのヒナが巣立ちました。しばらくは燕山荘周りで親からエサをもらうヒナの姿を見ることが出来るでしょう。
とっても微笑ましい光景です。
東沢ルートの中房温泉側から北燕沢出合の手前まで笹刈を行いました。7月上旬には全て笹刈をする予定ですが、渡床の多いこのルートは雨の多いこの季節はあまり適していません。水量の少なくなる8月以降がいいかと思います。西大洞沢出合~北燕沢出合間にある昨年の大量の倒木はまだ処理が出来ていません。非常に長いルートなので初心者の方には難しいルートです。
6月30日の小焼けはとても美しいものでした。夏至には野口五郎岳の真上に沈んでいた太陽は少しずつ南へと移動していきます。暑さはこれからですが日の長さは少しずつ短くなっていきます。
【第2回ライチョウ観察会】
6月25日~26日に燕山荘企画ツアー第2回ライチョウ観察会を行いました。
前日は強い雨が降り、中房線が通行止め(雨量規制があります)になりそうで心配していたのですが、朝には雨が上がり、また当日は風が強く、おかげで涼しく汗をかくこともなく、体にまとわりついてくる虫も吹き飛ばされて、快適に歩くことが出来ました。
所々で講師の植松氏の動植物の解説を聞きながら、ゆっくりと楽しく歩きました。こういう登山も楽しいものです。
登山道に残る最後の雪です。
その後の雨で、この雪も下山時には解けて、全てなくなっていました。夏の暑い時に見る雪は子供に戻ったようにはしゃいでしまうものなので残念です。今年はとにかく雪解けの早い年となりました。
そのため花の開花も早く、あちこちにお花畑が出来ています。
コマクサも。今年は花の見頃も早くなりそうです。
風雨が強かったので、映像を見ながらの講習となりました。ライチョウがいなくなってしまった山域もあります。それには人間が原因となっているところもあります。山にゴミや食べ物を捨てれば、そこにライチョウの天敵となるキツネやテン、鳥などがそれを求めて山へ上がってきてしまい、やがてライチョウはいなくなってしまいます。
我々に出来ることは、この生態系を守るために山にゴミを残さない、ラーメンや調理後の汁も捨てないことです。
燕岳山頂
2日目はライチョウを探しに燕岳まで行きましたが、残念ながら見つけることは出来ませんでした。この日は気温3℃、風速10m以上とやや厳しい気象条件でした。体感温度は氷点下となっていたと思います。夏が近づくといっても風雨が強い時は稜線上では低体温症になることがありますので注意が必要です。
第2回ライチョウ観察会参加者の皆様と
今年2回開催のライチョウ観察会も無事終了いたしました。
ご参加頂いた皆様、講師の植松晃岳様ありがとうございました。
第2回ライチョウ観察会ガイド:河地 松崎 講師:植松晃岳氏
ライチョウ観察会翌日、テント場では2羽のオスが仲良く並んでくつろいでいました。おそらく、この2羽は小屋の近くでよく縄張り争いしたいたものと思われます。その2羽が仲良くしているのは、もう縄張り争いがなくなったからでしょう。。そうなるといよいよヒナが出てくる頃ではないでしょうか。楽しみです。昨年は7月1日に見かけました。
夏山シーズンが間もなく始まります。
以上 写真・文:河地清人
(写真 植松晃岳氏)
【第2回ライチョウ観察会で確認した動植物】
※データは2日間通してのもの。夏道を歩いたため、6月18日とは出現種が異なる。
※植物は草本、木本とも開花していたもののみ記録。
※今回ライチョウは確認できなかったが、燕岳直下で26日早朝登山者の目撃情報あり。
※天気・・・6月25日/曇りのち雨、26日/曇りのち晴れ。一面のガスで視界が悪く強風だったため、動植物の確認は難しかった。
●野鳥(16種類)
【有明荘1400m~燕岳登山口1462m】
オオルリ、
【中房登山口1462m~第1ベンチ1660m】
キビタキ、ウグイス、ヒガラ、エナガ、ハシボソガラス、
【第1ベンチ1660m~第2ベンチ1820m】
コマドリ、
【第2ベンチ1820m~第3ベンチ2000m】
ホシガラス、クロジ、シジュウカラ、
【第3ベンチ2000m~富士見ベンチ2200m】
キクイタダキ、ルリビタキ、
【富士見ベンチ2200m~合戦小屋2370m】
メボソムシクイ、
【合戦小屋2370m~三角点2489m~燕山荘2712m】
カヤクグリ、
【燕山荘2712m~燕岳2763m】
ライチョウ、イワヒバリ、
●哺乳類
・キツネ(糞)、サル(糞)、※ともに燕山荘と燕岳間
・ヒメネズミ(第2ベンチと第3ベンチの間)
●両生類
・アズマヒキガエル(第2ベンチと第3ベンチの間)
●植物・・・花が咲いていた主なもの
【中房登山口1462m~第1ベンチ1660m】
ギンリョウソウ、マイヅルソウ、ミヤマニガナ、ハナチダケサシ、
【第1ベンチ1660m~第2ベンチ1820m】
アカモノ、タニギキョウ、ゴゼンタチバナ、ミヤマニガイチゴ、
【第2ベンチ1820m~第3ベンチ2000m】
イワカガミ、オオバスノキ、ハクサンシャクナゲ、イワナシ(実)
【第3ベンチ2000m~富士見ベンチ2200m】
イチヨウラン、ミツバオウレン、タケシマラン、ウラジロヨウラク、コヨウラクツツジ、ムラサキヤシオ、オオカメノキ、
【富士見ベンチ2200m~合戦小屋2370m】
ツマトリソウ、ハクサンボウフウ、ベニバナイチゴ、ウラジロナナカマド、クロウスゴ(実)ツルリンドウ(実)、
【合戦小屋2370m~三角点2489m~燕山荘2712m】
ノウゴウイチゴ、アオノツガザクラ、コケモモ、チングルマ、オオバキスミレ、ミヤマキンポウゲ、シナノキンバイ、ミヤマキンバイ、ミヤマタンポポ、エンレイソウ、サンカヨウ、ヒメイチゲ、ハクサンイチゲ、コミヤマカタバミ、ショウジョウバカマ、ユキザサ、ヒロハユキザサ、ミネザクラ、ミヤマハンノキ、
【燕山荘2712m~燕岳2763m】
ニッコウキスゲ、ハクサンチドリ、コマクサ、ウメハタザオ、ミヤマハタザオ、イワウメ、キバナノコマノツメ、イワヒゲ
(講師の野生生物資料情報室植松晃岳氏提供)