もう少しで夏です。
梅雨も後半に入り、青空が見られない日が多くなってきましたが、青空がなくても、燕岳周辺では緑が濃くなり、花がどんどん咲き出し、新しい命が生まれ、風景が日ごとに夏へと変わっていくので毎日がとても楽しい時です。必ず何か発見があります。
お花畑がどんどん出来てきています。シナノキンバイ、ミヤマキンポウゲなどの黄色と新緑のコントラストが美しいです。雨上がりはさらに美しく見えます。
雲がこんな素敵な光景を作り出してくれました。青空がなくても美しい光景に出会えることもあります。
梅雨の中休み、晴れることもあります。若葉が美しく、柔らかな緑色が美しいです。
山にも夏が近づいています。とはいっても朝晩はまだまだストーブが必要です。雨降りの日は肌寒く、日中も気温が一ケタの日もありストーブをつけることもあります。
【高山植物が次々と】
ハクサンシャクナゲ
燕岳周辺はキバナシャクナゲがほとんどですが、ハクサンシャクナゲを見つけました。
コバイケイソウ
コバイケイソウの花は毎年咲くわけではありません。何年かに一度花を咲かせます。今年はこの一つしか見つけていませんがどうなることでしょうか。雪が解けた地面からは次々と出てきます。
コマクサ
コマクサが見頃になってきました。まだ小さいものもありますが燕山荘の周りを少し歩くだけでもたくさん見ることが出来ます。これから花を咲かせるコマクサはさらに増えていきます。
燕山荘のすぐそば白いコマクサも見られます。
【新しい命】
ライチョウのヒナ
ライチョウのヒナは元気に育っています。草の新芽をエサにすることから、そういった所を捜すと見つけやすいかもしれません。でも、あまり近づきすぎると嫌がるので遠くからそっと見守ってあげましょう。写真を撮るには望遠レンズがあるといいですね。
一方、オスのライチョウはヒナが歩き出すと見張りをしなくなります。役目を終えて、のんびりとエサをついばんでいました。
イワヒバリのヒナ
雷鳥だけではありません。先日燕山荘脇の石垣にあった巣から、イワヒバリの二羽のひなが元気よく巣立ちました。生まれてすぐに自分で餌を食べる雷鳥と違ってしばらくは親から餌をもらいます。燕山荘まわりで親がヒナに餌を与えている光景に出合うかもしれません。
冬は餌を求めて標高を下げるイワヒバリと一生を高山で過ごす雷鳥とは多少違いますが、おなじ高山で過ごす鳥として、この小さなヒナの姿を見ると、雷鳥やイワヒバリなどがいつまでも生活出来るこの自然環境を残さなければと感じます。
【夏道開通】
燕山荘直下の夏道が開通しました。例年より雪解けの早い今年は雪堀の苦労も少なくすみましたが、暑い中登って来てまだ残る雪に喜んでいらっしゃる方が多かっただけに、いつものような雪の壁が出来なくて残念でした。テント場の雪もほぼなくなりました。
【表銀座縦走】
燕山荘から大天井岳を経て、槍ヶ岳までの縦走は可能になりましたが、槍沢にはまだ雪渓が残っています。アイゼンがあると歩きやすいです。
合戦尾根上には雪もなくなり、登ってこられるお客様がだんだんと多くなってきました。夏山シーズンが近いことを感じさせられます。それに向けてスタッフは着々と準備を進めています。
写真・文 河地清人