蔵王温泉とスノーモンスターウォッチングツアー
今シーズン2年目となる蔵王ツアーを、2月4日~6日、2月7日~9日の2回催行致しました。
上の画像は、今年の樹氷はどのような状況なのか、ツアー前の2月3日に下見に出かけた際の模様です。この日は比較的風が穏やかで青空も時々垣間見えるなど、樹氷を観賞するにはまずまずの空模様でした。
そもそも蔵王の樹氷“モンスター”はなぜできるのでしょうか・・・
シベリアからの季節風は、日本海の対馬海流(暖流)から多くの水蒸気をもらい、雪雲を作ります。その雪雲は、一旦朝日連峰にぶつかり、多量の雪を降らせます。その時の雲の中は、多くの雲粒が0℃以下でも凍らない過冷却の水滴となっていて、雪と交じり合っています。それら雪雲が再び山形盆地上空を通過し、蔵王連峰に当たり、多量の雪と樹氷を形成するわけです。
主に蔵王の樹氷は、アオモリトドマツ(オオシラビソ)が雪と氷に覆われてできます。
先に述べた、過冷却の水滴が、葉や枝にぶつかって凍り付いてできた“エビの尻尾”の隙間に多くの雪を取り込み、それが-0℃~-15℃程の強烈な季節風で冷やされて固まっていく、という一連の現象が繰り返され大きく成長していきます。
迎えた本番は、この冬一番の寒気団が入り込んだタイミングと重なってしまい、両方の回共に終始風雪の荒れ模様の天候。日本海から直接吹き付ける冬の季節風は、とても厳しいものでした。写真を撮るのもままならないほどでしたので、お見苦しい点はご容赦願います。
<1回目>
ロープウェーを乗り継ぎ、地蔵山頂駅から歩き始めますが、この日の風が一番強く、サングラスでは太刀打ちできない程の風雪でした。この時ほどゴーグルの必要性を感じたのはありません。
標高を下げると、ブナ林の森に覆われ風は弱まりました。
樹氷ではないものの、しんしんと多くの雪が枝に降り積もるブナ林の中の散策は、雰囲気があり、加えて風雪が和らいだこともあってホッとできる場所でした。
<2回目>
このツアーでは、古くから地元で愛用されている「かんじき」を使用します。
登山量販店で多くみられる金属製のものと違い、履き方にコツがあるため、地元のインストラクターの方が丁寧にレクチャーしてくれます。
週末にかかる2回目、この辺りが寒気のピークとなり、気温が-15℃前後と冷え込みました。下見で訪れた2月3日以降、ずっと吹き付ける季節風のおかげで、樹氷自体はだいぶ成長してきたのだと思いますが、何せ視界が悪くしっかり樹氷を観賞できる状況でなかったのが残念です。
この回も、標高を下げてブナ林の群生まで来ると、いくらか風も落ち着き、皆さんホッとした感じでした。一方で、降り続く雪で辺りの積雪は一段と増し、場所によっては膝上までのラッセル、さすがは豪雪地帯の蔵王だけのことはあるなと、皆さん感心されていました。
白と黒のコントラストがとても印象的だった今回のツアー、この東北辺りの山々も、例年に比べると雪の量は1/3以下だということで、やはり全国的な少雪傾向であることがうかがえました。
また、殊、蔵王の樹氷の出来栄えは、ひと昔前と比較すると年々小さくなり、またできるエリアも徐々に狭まってきているとのこと。
山の大好きな参加された皆さんも、その辺りの事情、気にかけていらっしゃいました。
<蔵王温泉>
蔵王温泉の開湯は、今から1900年程前のこと。日本屈指の名湯です。東北随一の強酸性湯で、“美人づくりの湯”としても知られています。三ヶ所の共同浴場があるほか、日帰り温泉施設も充実しています。今回はスノーシュー時の天候が悪かったこともあり、皆さん下山後はすぐに湯めぐりに出かけていきました。
参加者の皆さん
あいにくの天候でしたが、皆さんまた蔵王の樹氷を見たい!とおっしゃってリベンジの約束を頂きました。
ご参加頂きました皆様、遠い所から本当にありがとうございました。
特別講師:蔵王山岳インストラクター協会 會田茂雄氏、国井聖仁氏
ガイド:榊
写真と文:榊