明けましておめでとうございます。
明けましておめでとうございます。
▲お正月、燕岳をバックにお餅つき。
燕山荘は、昭和33年より65年間、年末年始の営業を行って来ております。当初は冬季小屋での営業でした。私は50年ほど前から冬季営業に携わってきました。10日間猛吹雪が続いたともありました。冬季小屋で使うモノを本館に取りに入ったらクマが冬眠していたこともありました。炊飯中の圧力釜が爆発したこともおりました。風の影響でマキが燃えず部屋中煙だらけになったこともありました。思い出多い冬季小屋の営業も1994年からお客様も多くなり、本館での営業となり内容が変わりました。クリスマスケーキをスタッフ皆で作り、大晦日の年越しそば、元旦のお節料理とお雑煮、お餅つき、冬季燕岳登頂ツアーなどスタッフと共に考え、いろんな催し物ができるようになってきました。トレース付け等の安全対策、食料や水の確保、冬山での注意喚起、山が好きなスタッフに守られながらの営業です。
年末年始の営業は4月中旬~11月下旬までの営業と比べ、風と寒さのため破格の厳しさがあります。冬山に登るのは日本の登山の文化です。欧米ではエキスパート以外登りません。燕岳は不思議な山で、吹雪いていてもどこかで毎日顔を出してくれます。吹雪にもかかわらず、お客様は楽しそうに過ごされていました。冬山は、お客様と私たちの連帯感があり楽しい正月が今年もありました。
昨年から後継者になる長男も入り、心新たに本年の無事をお祈り申し上げます。
【12月20日小屋開け準備のため入山】
▲年末年始営業のスタッフ
▲第三ベンチからトレースを付けるため全員ワカンを装着ここから雪が深くなります。
【クリスマス寒波】
▲合戦尾根は猛吹雪に。スタッフは2回、燕山荘⇔合戦小屋までトレースを付けに下り、登頂ツアーや登山者のサポートをしてくれました。
▲稜線は風が強い吹雪のため視界が悪く、登頂をあきらめましたが、猛吹雪でも山頂を垣間見ることができ、ツアーの皆さんはにこやかに下山されました。
【大晦日の様子】
▲合戦小屋でエネルギー補給、寒さと風雪対策が大切です。
▲森林限界を超えるとそれまでの行程と違い、強風のため体感気温は-10℃以下に下がります。
▲天気がいい時は、当日のうちに頂上をアタックするのが鉄則です。
▲雪山では、装備の重さ、歩行時間、疲労度は夏山の1.5倍以上です。
▲北アルプスの稜線上にある山小屋で営業しているのは燕山荘だけです。雪崩の心配がないのが理由の一つです。
▲この時は、燕山荘、大天荘、ヒュッテ大槍の支配人が勢ぞろいします。
【元旦】
▲元旦は、お節料理、お雑煮などいつもと違うメニューです。
▲「初日の出」こそ出ませんでしたが、10時ごろからいい天気に。
▲北燕岳 メガネ岩から頂上まで歩いている間のわずかな時間で急に天気が変わってきました。
▲2時過ぎから始まったお餅つきは、吹雪のため燕山荘玄関の中で。
【2日】
▲燕山荘ツアーの皆さんが下りるときはまたまた吹雪。ガイドからアイゼンの使い方を教えてもらいながら下山されました。
▲2日は、外でお餅つきができました。最高においしいお餅でした。
【3日】
▲1月3日、2023年の初日の出。 お日様が顔をのぞかせると神々しく元気になります。
▲営業中最後の水を確保。水は雪を解かすため約10トン運びました。
▲2022-2023年末年始営業スタッフと番犬&干支のウサギ(右)の雪像。
やはり冬山は厳しい世界ですが、この時期には日本の山登りのエッセンスが詰まっている気がします。私たちスタッフは、厳冬期の登山の楽しさを体験していただくために一生懸命でした。今年は事故なく無事に営業を終了することができました。
お越しいただいたお客様、ありがとうございました。
【冬山の注意点】
年末年始の時期の冬山は、寒さ、気候条件が大変厳しくなります。安全に登山をしていただくために、小屋が発信する情報をよく読んでいただいた上で、厳冬期の冬山の装備を整えお越しいただくようにお願いいたします。
今回見かけた装備で、
「安全面から冬山に適さない装備」は以下になります。
① 雪が深い時のチェーンスパイク
② 寒さの厳しい時のテムレス(手袋)
③ カッパのアウター
④ 長靴
⑤ 巻スカート、等
↓
■「冬山に適した装備」
① 10本歯以上のアイゼン
② 冬用の手袋
③ 冬用のアウター上下
④ 冬用登山靴と靴に合わせたアイゼン
⑤ 体を冷やさないパンツ
そのほかに山小屋泊の場合は、登山用具の取違い防止のため、装備品には名前を書き間違えられない対策が重要です。
当日予約をキャンセルされる場合は必ず現地に連絡をお願いします。予約されていて到着しない方がいる場合は、レスキューにつながるので緊張します。
今年も、皆様に安全に山に登っていただくために情報を発信していきたいと思います。
オフィシャルの情報をご確認いただきお越しいただきますようお願いいたします。
本年どうぞもよろしくお願い申し上げます。
文:赤沼健至
写真:赤沼健至、湯山友美、井村克彦