大天荘視察。
約半年ぶりのご無沙汰となりました、改めまして今シーズン令和元年よろしくお願い致します、大天荘 榊(さかき)です。
▲大天井岳と穂高連峰(5月25日 燕山荘から)
5月25日から2泊3日の日程で、大天荘視察に出かけてきました。
小屋が無事に越冬できているか破損等の確認、6月半ばスタッフ本格入山にあたっての前段取り等、十数項目に渡る確認が主な作業内容となるこの視察は、新しいシーズン多くの方に大天荘をご利用頂く上で、例年とても大切なイベントです。
とはいえ、約半年ぶりのこの時期の大天井岳現地入りは、「よし!今シーズンも気持ち新たに頑張るぞ!」と毎年気分が高揚するもの。加えて今回は晴天に恵まれたこともあり、この谷の視察はとても気持ちよく作業にあたることができました。
5月25日、燕山荘を出発して約3時間、昼前に大天井岳山頂に到着。
▲槍・穂高連峰
▲剣・立山連峰~針ノ木岳~鹿島槍・白馬方面
▲常念山脈 遠望:南アルプス、八ヶ岳連峰、中央アルプス他
快晴無風のこの日は、霞むことなく遠望がよく効きました。
・・・やっぱりここ大天井岳の頂上から見るこの光景、落ち着きます。
あと3週間足らずで、再びここでの生活が本格的にスタート。今シーズンも、ここ大天井岳周辺から、自然の移ろい等をお届けしてまいりますが、なかなか一向に向上しないカメラワークだけはご勘弁を・・・
▲鷲羽岳辺りに沈む夕陽(5月25日)
▲日の出4:40頃(5月26日)
▲朝焼け槍ヶ岳
▲朝焼け穂高連峰
▲前穂高岳北尾根越しに御嶽山
▲北の方角 燕山荘方面
▲大天井岳と大天荘
視察滞在2日目も概ね終日晴天に恵まれました。殊、残雪残る朝焼けの槍穂高は毎年この時期見ていますが、じつに迫力ある峰々だと改めて感じます。
ちなみに、今年の大天荘周辺の残雪状況は・・・
▲2018年5月24日
▲2019年5月26日
過去数年と比較してうんと多いわけではありませんが、去年と比較すると多めです。
限られた2泊3日、100%というわけにはいきませんが、雨どいの補修や貯水タンクの洗浄、要所の除雪等、今回の視察で予定していた作業内容はあらかた進み、無事終了。
同行して頂いた燕山荘スタッフT君、ありがとうございました。
なおご覧の通り、小屋周りの所々に、深さ3~4m除雪の縦穴を掘りましたが、目安に赤旗を立ててありますので、縦走で小屋周りを歩かれる際は、旗の近くには近寄らないようご注意願います。
視察を終え大天井岳を後にし、燕山荘に向かう道中の道端に、
早くもミヤマキンバイが一輪咲いていました。
次回本格入山は、6月16日の予定です。
恐らくその頃、大天荘の小屋周りにはこのミヤマキンバイが群生していることでしょう。
さあ、この視察を踏まえて、ぼちぼち入山の準備を本格化させるとしましょうか・・・
<燕山荘~大天井岳縦走路の様子>
上の写真は燕山荘を出て大天井岳方面に向かっている場面での蛙岩付近の登山道上です。赤矢印が夏ルート、水色矢印が冬ルートです。
蛙岩付近は、5月25日の時点で多少残雪がありましたが、雪をL字状に工作しましたので、夏道の通行可能です(恐らくこのブログが更新される頃には、その後の雪融けで無くなっているかもしれません)。
上の写真は、大下りの頭から降り切った縦走路。夏道はこの残雪の下にあり、数百メートル残雪上を歩くことになります。燕山荘~大天井岳山頂までの間、雪の上を踏む箇所はここだけです。
なお、通称“為右衛門吊岩”付近等、稜線の東側を巻く幾つかの区間は、残雪により通行できない箇所があります(ロープ等で誘導してあります)。そういった区間は、稜線西側を巻く冬ルートの通行をお願い致します。
最後に大天井岳山頂付近ですが、大天荘が営業開始するまでは、水色矢印の冬ルートの通行をお願い致します。
赤矢印の夏ルートは、上でご覧の通り、幾つかの急傾斜の雪渓をトラバースする箇所があり、特にこの時期一度滑落すると数百メートル止まらなくなる危険がはらんでいます。傾斜のきつい雪渓上のトラバース程、雪上歩行において難しいものはありません。過去においては数件遭難事故が発生しているとも聞きます。
不確かな踏み跡に惑わされることのないよう、冬ルートの通行のご協力をお願い致します。