「紙」の魅力
7月3日(土) 午後2時現在の気温:24℃ 天候:高曇り時々晴れ
今日は久しぶりに雲間から青空も顔を出し、まずまずのお天気となりました。
このお天気を見逃すまいと日帰り登山を楽しんできた方も多くいたようです。
さて、有明荘の休憩所「まつの間」には本のコーナーがあるのをご存知でしょうか?
ここ数年この本コーナーのラインナップは代り映えしなかったのですが、先日一部入れ替えました。
相変わらず山に関するものがほとんどですが、軽く読めるもの、じっくり読めるもの、写真集から漫画まで色々あります。どんな本があるかというと・・・
まず軽く読むならやっぱり漫画!山の漫画といえば代表的な『岳』や『山と食欲と私』が揃っています。日帰り入浴の待ち合わせやバスの時間待ちには最適です。
その『岳』の主人公「島崎三歩」のモデルとなった宮田八郎さんの『穂高小屋番レスキュー日記』や、「ダンプさん」の名で知られる山と自然を愛してやまない登山家でカモシカスポーツ創業者でもある髙橋和之さんの半生を綴った『ダンプ、山を行く』、また医師として活躍する傍ら輝かしい登山歴を持つ今井通子さんの『山は私の学校だった』、長谷川恒夫さんの『行きぬくことは冒険だよ』など山と関わって来た人たちの真実に近づける興味深い本があります。
そして40年くらい前なら登山を始めた人が必ずと言っていいほど読んだ本『氷壁』(井上靖)、『孤高の人』『剱岳<点の記>』(新田次郎)、『日本百名山』(深田久弥)はじっくり読みたい本なので、お泊りのお客様向け。
海外著書もあります。
痛快アドベンチャー・ストーリーなら『七つの最高峰』(ディック・バズ&フランク・ウェルズ)。これは「人生を見わたすなら、いちばん高いところからに限る」と五十歳の声をきいてから、七つの大陸の最高峰を征服する夢に賭ける二人の男の物語。
続いて、1954年に山岳文学大賞を受賞し、日本でも多くのファンに親しまれた『星と嵐』(ガストン・レビュファ)はアルプスの「6つの北壁」を登攀したレビュファが、山岳ガイドという職業に対する誇りやザイル・パートナーとの友情、アルプスの自然への賛美が描かれた本です。
そしてこれを読まずに山の文学は語れない!とまで言われた山が好きな人なら読んでおくべき1冊『処女峰アンナプルナ』(モーリス・エルゾーグ)。これは1950年にモーリス・エルゾーグを隊長とするフランス隊が約3カ月間にわたる苦闘の末に、人類として初の8000m峰ヒマラヤ山脈・アンナプルナⅠ峰登頂の記録で、登頂という栄誉の代償として、登攀隊員たちが下山中に嵐につかまり、生死の境をさまようことになるという、初登頂にいたる過程と、生還に向けての凄惨なまでの脱出行を描いたベストセラー作品です。
機能性の高い電子書籍が主流となりつつある昨今ですが、実際に本を手に取ってみるとその重みや質感を感じられ、電子書籍では味わえない紙の魅力があります。
チェックインまでの待ち時間や夕食後のひと時、たまにはスマホを置いて、じっくり本を手に取ってみてはいかがでしょうか?
(猪股ひ)
※本を読む前、読んだ後は手指の消毒のご協力をお願いいたします。