蔵王スノーモンスターウォッチングツアー催行しました
2月21日~22日、23日~24日の2回に分けて、蔵王ツアーを催行致しました。
▲約5年ぶりの再開となった蔵王樹氷ツアー
東北地方を南北に走る奥羽山脈の南寄りに位置する蔵王連峰も、今冬は過去に類を見ない程の積雪量のようです。おかげで、ここ数年出来栄えがいま一つだった樹氷は、この冬久しぶりに立派な“モンスター”と言える造形を織り成しました。ただ、この冬数度に渡り日本列島を襲う強い寒波が、またまたツアーと重なってしまい、天気的には生憎となってしまいました。
▲この強い季節風をまともに受け続けることのできる場所だからこそ、蔵王をはじめとした東北地方要所で見ることのできる“樹氷”“モンスター”が形成されます。晴天率も極めて低い・・・そこは参加された皆さん十分了承の上で、各々楽しまれました。
<かんじき>
▲この蔵王ツアーでは、地元ガイドさんが用意する「かんじき」を使用します。
量販されているアルミフレーム製ではなく、クロモジの木を使用した、昔から伝わるかんじきを使うため、いずれの回も先ずは装着の仕方からレクチャーを受けます。ちょっとしたロープワークをしているかのようで、皆さんなかなか手強そうでした。金属製と違いとても軽く、初日の足慣らしで楽に取り回しできるようになります。
<樹氷原へ>
▲樹氷原へはロープウェイとゴンドラを乗り継ぎ、地蔵岳山頂(1,736m)近くに位置する標高1,661m地蔵山頂駅まで一気に上がります。近年インバウンド需要の高まりで、樹氷シーズンは乗車券を買う列、乗車するための列で、混むときは延べ3時間前後かかるそうです。人気を伺わせます。
<樹氷原へ>
▲頂上駅近くには実際に人の背丈ほどの大きなお地蔵さんが祀られてあります。普段ですと真冬でもせいぜい顔は露出していますが、今年は今ある雪面よりさらに2m程掘らないとその顔が出てこないとのこと。雪で埋没していました。ちなみに賽銭箱は、その下にソリが敷いてあるため、夜間は頂上駅舎内に仕舞うため、埋まることはないそうです。
山形蔵王の樹氷原は、この地蔵岳頂上周辺から、標高1,400m余り迄の西側斜面一帯に広がります。
1回目
▲進行方向からまともに吹き付けてくる季節風と視程20m程の風雪は、体感温度で-20℃は下回っていたかと思われます。カメラのレンズはすぐ曇り、また濡れたりしてしまい、皆さんの様子をうまく撮ることができませんでした。果たして参加者の皆さん、楽しまれているかとても気がかりでしたが・・・
「これだけの立派な樹氷を間近で見ることができるだけで来た甲斐あった。青空はまた次回来た時で十分!」
地元ガイドさんの素晴らしい案内と盛り上げで、皆さん十分に楽しんで頂けたようです。
2回目
2回目も総じて天気予報は芳しくなかったのですが、2日目の午前中早い時間、中腹辺りは奇跡的に青空が広がり視界も開け、樹氷原の全容を一瞬垣間見ることが叶いました。5年前に来た時には、ツアー直前で気温の上昇により樹氷が崩れ落ちてしまったという苦い経験があるがゆえ、これだけ立派な“モンスター群”が見渡せたことは、感慨深いものがありました。
▲それでも地蔵岳頂上付近まで上がってくると視界は閉ざされ、前回と同じ光景・・・
▲しかし、中腹近くになると雲の切れ間から時折青空が覗くようになり、歓喜の声が一斉にあがります。
▲そして、たちまち辺りの樹氷原一帯が開け、皆さんの気分は最高潮です。
▲蔵王の樹氷原を形成するのは、オオシラビソ、別名アオモリトドマツと言われる常緑針葉樹です。しかし、10年程前に発生した虫の害により、地蔵岳山頂近くを中心とする約2万本のそれが、今は立ち枯れ状態となってしまい、あと10年ほどもすれば、それらは倒れてしまうのだそうです。
現在、稚樹を増やして、少しずつ快復させようと、地元行政も加わってようやくその動きが出てきたようですが、そもそも樹氷として見ごたえのある木に成長するまでには、30~40年はかかるとの事。
地球上の時の流れにしてみれば、たいしたことの無い出来事ではあるのでしょうけれど、「樹氷を見る」ということ一つだけ取っても、動植物の生態や気候の特色といった色々な自然の営みを知り得ることができるという点では、蔵王の樹氷は大切な自然資源です。それがいつまで見られるかわかりません。
そんな意味でも、来年も蔵王ツアー計画したいと考えています。
▲余談ですが、豪雪地帯においての雪遊びは、ここ蔵王も一緒のようで・・・栂池ツアーと同じく、皆さん全員滑り台を楽しみました。
▲1回目参加された皆様
▲2回目参加された皆様
今回は大雪の最中、遠い所から皆様ご参加頂きまして、ありがとうございました。
▲蔵王温泉街にある宿「ロッジ・アンティロープ」ご主人の山口勝美さん、蔵王インストラクター協会の菅文広さん、荒生満晴さん、この方々に今回はお世話になりました。
今回の宿のご主人山口さんは、蔵王の自然に関わって50年以上、樹氷の実態をはじめ、蔵王山系のあらゆる事に精通された方です。今でもなお主な救助活動に尽力されています。
山口さんはじめ菅さん荒生さんお二方も、樹氷ツアーを軸に、四季折々の蔵王の自然をガイドされています。大変お世話になりました。ありがとうございました。
特別講師:菅文広氏、荒生満晴氏(蔵王山岳インストラクター協会・蔵王登山ガイド協会(JMGA)所属)
ガイドと写真と文:榊
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